ペイントツールSAIで描く

塗りレイヤーは色別に!

(1)

 色を塗り始める前に。ペン入れレイヤー(をラスタライズしたもの)に直接色を塗るのは止めましょう。これはレイヤー機能付きCGツールで色を塗る上での大原則です。

 実際、ペン入れレイヤーに色を塗ってしまうと、線と線の隙間の色を塗るのが大変だったり、残したいはずの線を消してしまったり、塗った色と線の色とのアンチエイリアスが上手くいかずギザギザな線になってしまったり、とロクなことがありません。

こんな風に塗りたい。でもペン入れレイヤーに色を塗ってしまうと……
色の境界が主線に入り込んでいる反面、
小さな隙間が塗れていません。
アンチエイリアスが上手くいかず、
眉毛の線に凹みができています。
鋭角部分も塗れていません。

(2)

 主線レイヤーには色を塗らないとなると、当然塗り専用のレイヤーが必要になります。

 塗りレイヤーは基本的に、基本色、影、ハイライト(つやによる光)と分けて塗ります。何故分けるかと言うと、「色を塗るとき余分に塗りすぎた」「実際に塗ってみると色が思ったのとは違うから塗りなおしたい」などと言ったときに、やりなおしの手間が省けるからです。

 例えば、基本色を別レイヤーにしておくと、色違い画像が簡単に作成できます。もちろん、最初に塗った色が気に入らなくて調整したい場合も、同じ方法で色を変えればOK。

金髪碧眼 黒髪黒瞳
塗りレイヤー
配色の基本

 影を別レイヤーにしておくと、基本色と同様に色違いが簡単に作成できます。影の色の調整も同様。

 また、影の全体的な濃淡の調整も簡単にできるようになります。

不透明度33% 不透明度50% 不透明度100%

 影の塗り方だけを変える、と言うことも簡単です。

グラデ塗り セル塗り
実際の画像
影レイヤーのみ

 影レイヤーと基本色レイヤーが同一だと、これらの作業は全て「最初からいちいち塗りなおし」せねばならず、ちょっとした失敗を修正するだけでも膨大な手間がかかります。特にグラデ塗りの場合、基本色と影色の混ざる部分は色ムラが目立ちやすいため、修正はほぼ必須の作業となるはずです。

 ハイライト(つや)レイヤーは、影レイヤーと同様です。また、ハイライト(つや)レイヤーは大抵1枚あれば事足りますが、影レイヤーは絵によって複数枚を作成し、より立体感を出すこともあります。

(3)

 塗りレイヤーは明暗だけでなく、使う基本色ごとに別レイヤーで作成すると、やはりいろいろと便利な点があります。
 ひとつは、上記のような調整を色ごとに行えること。
 ひとつは、絵をパーツに分解することで、絵の破綻を最低限に抑え、より立体感のある絵に仕上げられること。

1枚の絵に見えますが。 実は2枚の絵を重ねたものです。 こんな風に重なっています。

 ひとつは、ペン入れ用レイヤーを分ける場合と同じく、着せ替えや模様の交換が簡単にできること。


Tシャツ全体の影

Tシャツの模様(この場合は横縞)

Tシャツの地の色
上の、縞模様入りのTシャツは……
3つのレイヤーを使っています。
これを重ねて表示すると
Tシャツの地の色と模様に、同時に影が入ります。 影レイヤーは、模様も含めたTシャツ全体に掛けたいので、一番上に置くのがポイント。

また、クリッピングで3つのレイヤーを連動させておくと、いろいろ便利です。

 上記例では模様レイヤーは1枚しか使ってませんが、模様レイヤーは何枚でも重ねられます。また模様レイヤーを隠せば、それだけで無地に戻ります。
 これらを応用し、服の基本色と影を先に塗り、影やシワの形に合わせて後から模様を入れる、と言う芸当もできます。

 影レイヤーや模様レイヤーを別にしていれば、「なんだかすげー便利そう」なのはお分かりでしょうか。

(4)

 実際にどの程度レイヤーを分けるかは、完全に描き手の好みです。
 ただし塗りレイヤーを色別に分けるときは、その重ねあわせ順も重要です。大抵はペン入れ用レイヤーはいくつにする?でパーツを細かく分けるときと同じ順番になると思います。
 塗る順番は、影色やハイライトも含めて好みの順番で構いません。一般に基本色→影色orハイライトの順で塗りますが、SAI講座をサイトに設置している方の中には、影色→基本色→ハイライトの順で塗る方もいらっしゃいます。

 ちなみに私の場合、基本色だけでも肌、目、髪、服は別レイヤーです。模様が入る場合は、模様の基本色レイヤーも別レイヤー。
 髪型や服装、ポーズなどによっては、塗りレイヤーをより細かく分けることもあります(ポニーテールならば前髪・頭部全体・テール部の3つ。服は色ごとに別レイヤー、セーラー服は襟やリボンを別レイヤーにすると言った具合)。目のレイヤー分けも、白目と黒目は分けて塗ります。
 そして、基本色レイヤーごとに1つ以上の影と0つ以上のハイライトが入ります。なので私のデータファイルは、レイヤーが恐ろしくたくさんあります。描いてる本人も管理するのが大変です(苦笑)。

基本色 ハイライト
(ポーズによっては分割) 基本の肌色 頬の赤み 口紅 肌の影色
(画風によっては濃さで分割)
肌のツヤの色
黒目 虹彩の色 瞳孔の色 虹彩の影色 虹彩のツヤの色
白目(目全体) 黒(半透明)
(髪型によっては分割) 基本の髪色 髪の影色
(画風によっては濃さで分割)
髪のツヤの色
(画風によっては濃さで分割)
服・装飾 (服の重なり方によっては分割)
(装飾によっては分割)
(ポーズによっては分割)
地の色 模様の色 服の影色
(服の重なり方などによっては濃さで分割)
(服や装飾の材質による)

 表にするとこんな感じです。……我ながらなんて多さだ。
 と言っても、昔はレイヤーの多さが嫌だったので、分けずにひとつにしていた部分もあるんですが、そのせいで苦労したこともあって、結局こんな形で落ち着きました。

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